ヌメヌメ

ためしてガッテン』か何かの実験で、

「ヌメヌメ」と「ネバネバ」の違いをやるらしい。


人が幾重にも重なって壁となり、どちらがより長い間落ちないでいられるか?というよく解らない実験だ。

僕は「ヌメヌメ」の方の壁の一番上に持ち上げられた。

「それでは実験を始めて下さい」と言われ、皆落ちない様に奮闘していた。

でも僕は知っていた。

「この最下層には美味い天ぷら屋がある」という事を。

「落ちない様に」と言うのは罠だ。実は先に落ちた方が得なのだ。

そこで僕は「頑張ってるけど出来ない、駄目な男」のフリをして、ズリズリと壁を降っていった。

スピードが付き過ぎない様に、たまに他人の足を掴みながら。

ズルズルズルズル


ズルズルズルズル



最下層には檜のカウンターがあり、芸能人らしき人物が2、3人座っていた。カウンターの向こうでは板前さんが天ぷらを揚げていた。