大塚愛

大塚愛



大塚愛似のかわいい娘が出てきた。

実際の知り合いではないし、芸能人でもない、夢中の人物。

自分のタイプではなかったが、多くの人がカワイイと思うだろうその人と、よく分からない建造物の中に二人でいた。

僕は彼女の噂を友人から聞いていた。
「誰にでも抱きついたりする女だと。それで男の方が勘違いで舞い上がって、何度もイザコザが起きてると。」
ありえる話だ。
僕はそんなイザコザに巻き込まれるのは面倒だ。なるべく彼女とは関わらない様にしよう…

…しかし案の定、彼女は僕にも抱きついてきた。

話を聞いて彼女の素性を知っているとはいえ、好意があるとしか思えない微笑みと、大塚愛の様なルックス、そして抱きつかれたときに感じる温もり、安らぎ…

これは、確かに、いい。

騙されちゃいけない、騙されちゃいけない。必死で理性を保とうとする。

だが、無理矢理彼女を突き放したりはしない。
(こういう所が僕のダメな所なんだよな)そう思う。
彼女にされるがままになってる。
だんだん解らなくなってくる。

温もりと安らぎに包まれる。

…包まれていたい…


彼女の肩が露(あらわ)になる。

彼女の肩には、腫瘍みたいたデキモノが沢山出来ていた。
肩一帯が茶色く焦げたように濁っている。

よく見るとそれはコーヒーゼリーを掻き混ぜたような状態で、茶色の鉱石のような、透明感と形だった。

でも、僕は判断力がとても鈍っていて、何だか分からなかった。病気だろうか?
気安く話題にしたら彼女を傷付ける可能性がある、触れないことにしよう。
理性のほとんど無くなった脳で判断を下す。

そして、彼女の上半身の全てが露になった。


彼女の背中には「なると」が食い込んでいた。

食べ物のなるとだ。

なるとのスライスされたものが、彼女の背中に半分くらい埋まっていて、新しく皮がつくられ、既に肉体の一部と化してる。



…僕は、彼女とどうやって接したらいいのだろう?

全てが解らなくなった。

ある家族

ストーリーは無し

設定
家は本屋を営んでいるらしい。
三階建てのなかなか立派な家に住んでいた。
兄弟は多い。

その時僕は三階にいて、フロアでは数人の姉妹達がボードゲームか何かをしながらお喋りをしていた。
姉妹達は美人でもなければ不細工でもない。
芸能人にも似ていないし、クラスメイトにも似ていない。

僕は珈琲でも飲もうと思って階下へと向かった。
降りる途中数人の兄弟に会った。
兄弟達は韓流スターに似ている。

一階に降りると、玄関に本の卸の男が姿勢良く立っており、僕の姿を見付けると「おはようございます」と声をかけてきた。
僕は正直面倒臭いなと思ったが、わざわざ来てもらったのだからないがしろにも出来ない。
すると兄弟の中で一番仕事の出来る妹がひょっこり現れ、「こちらにどうぞおかけ下さい」と卸の男を応接間に案内した。
彼女も顔の造形だけ見れば可愛いとは言い難いが、笑顔がとても好感を持てる顔だ。

僕は台所へ向かった。

えんおか

僕は家路に着くため、列車に乗っていた。

床が板張りで、壁はペンキの剥げた鉄製で、隙間風の酷い列車だった。

「東京行き」と書かれたホームから乗ったハズなのだが、どうも間違えて逆方向の列車に乗ってしまったらしい。

僕は慌ててホームに降りた。

蒸気機関車も走っているため、ホームの天井はススで真っ黒だ。


次の新幹線が来るのはまだ大分先らしい。

僕は駅を出た。

「遠岡」という駅。何処なのかさっぱり判らない。

暫く歩くと幼稚園があり、「えんおかようちえん」と看板にかかれていた。

「遠岡」は「えんおか」と読むらしい。

幼稚園児が小さい鰐を連れて門から出てきた。

鰐はヒモで繋れていて、頭には赤いリボンが付いている。


幼稚園の角を曲がると、消防車が歩いていた。

「消防車」と言っても、馬が赤い荷台を引いてるもので、荷台には大きな砲が付いていた。

近くで見るとやたら出かい馬だ。

突然ある馬が暴れだし、僕目がけて突進してきた。

僕は必死で逃げた。

細い道に逃げ込んでも、馬はその怪力で障害物を破壊しながら突進してくる。

「何かを見ると馬は興奮して追い掛けて来る。」

そんな事を思い出したが、肝心な「何か」が何なのか思い出せなかった。

新宿駅

新宿駅に僕はいた。

どういう訳か僕は新宿駅から出られなくなった。

エスカレーターは全部下りに成っていて、無理矢理上がって行った仲間は氷浸けになり死んでしまった。


駅ビルに行く事は可能らしく、僕等はレストラン階にて酒を飲み、夜を明かす。

仲間の中には余りこの事態を深刻に考えていない者もいて、ガバガバと酒を飲む。

こんな生活を続けていたら、金が底をつくのも時間の問題だ。


ある時、ホームで偶然大学のクラスメートに会った。挨拶くらいはするが、親しくすることもない、そんな間柄だ。
彼女は好意も無ければ悪意も無い相手に見せる独特の作り笑いをして、「こんにちは。こんな所で何してるの?」と話しかけてきた。

知人に会うなどなかなかないチャンスだ。信じてはくれないだろうと思いながらも、僕は「新宿駅から出られない事」「出ようとしたら死ぬ事」「その為新宿駅内で生活している事」を話した。

彼女は作り笑いを辞め、こう言った。

「それは只の思い込み、と言う可能性は無いの?今聞いた限りでは矛盾は見付からなったけど、だからと言って貴方の言う事が正しいという証拠も無いわ。」

彼女の言った通りだった。
駅から出ようとすると死ぬ事を証明する為には、仲間の誰かか自分が死んで見せなければならない。勿論そんな事率先してやって見せる者などいないのだ。

買い物

彼女と一緒にショッピングモールに買い物に行った。


僕はウルフルズのCDを買おうと思ったのだが、

CDはレジカウンターの前に20枚程しか置いていなく、何故か『ストレイテナー』と『コーネリアス』のCDしか売っていなかった。


彼女は「魚を買った」と嬉しそうにしていた。

見ると、ワンカップ大関の空き瓶みたいなのに、グッピーだかメダカだかが2、3匹入っていて、水が並々と注がれていた。


どうやって持って帰る気なのだろう?

ヌメヌメ

ためしてガッテン』か何かの実験で、

「ヌメヌメ」と「ネバネバ」の違いをやるらしい。


人が幾重にも重なって壁となり、どちらがより長い間落ちないでいられるか?というよく解らない実験だ。

僕は「ヌメヌメ」の方の壁の一番上に持ち上げられた。

「それでは実験を始めて下さい」と言われ、皆落ちない様に奮闘していた。

でも僕は知っていた。

「この最下層には美味い天ぷら屋がある」という事を。

「落ちない様に」と言うのは罠だ。実は先に落ちた方が得なのだ。

そこで僕は「頑張ってるけど出来ない、駄目な男」のフリをして、ズリズリと壁を降っていった。

スピードが付き過ぎない様に、たまに他人の足を掴みながら。

ズルズルズルズル


ズルズルズルズル



最下層には檜のカウンターがあり、芸能人らしき人物が2、3人座っていた。カウンターの向こうでは板前さんが天ぷらを揚げていた。

三度目の茶屋

お婆ちゃんが一人で営んでいる茶屋に僕は入った。

テーブルが3つほどの小さな店で、にこやかなお婆ちゃんは親しげに話かけてくる。


この茶屋に来るのは夢の中で3度目だ。


お婆ちゃんは前と同じ事を話し、同じ事を訊き、同じ様におどろいている。

親しい態度とは裏腹に、全然僕の事など覚えていない。

そういう僕もいちいちそれを指摘する気もないので、適当に作り笑いで相槌を打つ。


「何を頼みますか?」と、お婆ちゃんはメニューを出した。

メニューは5つ程しかない。そして少し高い。


一度目に来た時は昼を食べた後だったが、断りづらかったので、あんみつを頼んだ。

ニ度目に来た時は、うどんを頼んだ。


だが今日はお腹も空いてないし、別段美味いとも思えないあんみつに800円も出したくない。


「あの、暖かいお茶をお願いします。」

にこやかなお婆ちゃんから一瞬にして笑顔が消えた。



多分夢の中であの茶屋に行くことはもう二度とないだろう。