えんおか

僕は家路に着くため、列車に乗っていた。

床が板張りで、壁はペンキの剥げた鉄製で、隙間風の酷い列車だった。

「東京行き」と書かれたホームから乗ったハズなのだが、どうも間違えて逆方向の列車に乗ってしまったらしい。

僕は慌ててホームに降りた。

蒸気機関車も走っているため、ホームの天井はススで真っ黒だ。


次の新幹線が来るのはまだ大分先らしい。

僕は駅を出た。

「遠岡」という駅。何処なのかさっぱり判らない。

暫く歩くと幼稚園があり、「えんおかようちえん」と看板にかかれていた。

「遠岡」は「えんおか」と読むらしい。

幼稚園児が小さい鰐を連れて門から出てきた。

鰐はヒモで繋れていて、頭には赤いリボンが付いている。


幼稚園の角を曲がると、消防車が歩いていた。

「消防車」と言っても、馬が赤い荷台を引いてるもので、荷台には大きな砲が付いていた。

近くで見るとやたら出かい馬だ。

突然ある馬が暴れだし、僕目がけて突進してきた。

僕は必死で逃げた。

細い道に逃げ込んでも、馬はその怪力で障害物を破壊しながら突進してくる。

「何かを見ると馬は興奮して追い掛けて来る。」

そんな事を思い出したが、肝心な「何か」が何なのか思い出せなかった。